コラム[プレクシャ讃歌の魅力]

私がジャイナ教の瞑想法に魅せられたのは論理性の高さと、こうすればこうなると云う方法論が確立されていることにありました(日本の禅にはHOW TOが不足していると思っている)。

さらに、プレクシャ瞑想にはマントラや讃歌が具体的方法のなかに組み込まれていて、これが心身の深いレベルに影響を及ぼすと理解できたからです。私はテーラパンタ派のマントラや讃歌が大好きです。楽器を使わず声だけで讃歌を合唱しますが、メロディや旋律が心に響きます。

アラハト・バンダナやローガッサ・スートラの詠唱を初めて本拠地ラドヌーンで聞いたとき、私は言葉の意味や内容が解らないにもかかわらず魂をゆすられる感動を覚えました。もしプレクシャ瞑想の中に讃歌の詠唱がなかったなら、私はこれほどまでにプレクシャ瞑想に入り込まなかったかもしれません。そういう意味でヴィパッサナーとの出会いには魅力を感じなかったのだと思います。アラハト・バンダナやチャイテ・プルシャの意味は10年以上前から解明できていましたが、ローガッサ・スートラの意味がなかなか解明できなかった。それが最近になってようやく森山江美さんによって明らかにされ、私の長年の疑問が解消されました。

どのように唱えるかは、今年2月、ラドヌーンでニーラジ・ムニからいただいたCDがあるので、これを聴きこめば歌えるようになると思います。やっと日本でもプレクシャ合宿のときに讃歌を唱えることができるようになるでしょう。ニーラジ・ムニはテーラパンタ派で一番声が綺麗で歌が上手な出家僧です。CDを聴いていると歌声とメロディが深く心に浸透してきます。同時に悩みやストレスが抜け出てゆくように感じます。

仏教でもたぶん、仏陀の時代には御経が讃歌として詠われていたに違いありません。テーラパンタ派で朝に夕べに唱えられているマントラや讃歌は仏陀の時代の読典と同質なのだと思います。プレクシャ瞑想のHOW TO体系の内容はヨガのヤマ・ニヤマに相当するアヌブラタ戒律からアーサナ(身体のヨガ)、呼吸法、自己コントロールのバーバナ、プレクシャ・ディヤーナ、アヌプレクシャ、マントラ、讃歌まで多彩で総合的です。これら全てを含むのがプレクシャ瞑想なのです。

<著:坂本知忠>
(協会メールマガジン2011/5/20からの転載です)

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